ご自身が土地を所有されており、そこに賃貸マンションを建設する、あるいは診療所を建設することをお考えの先生は、不動産管理会社を活用してみてはいかがでしょうか。

不動産管理会社は、オーナーの土地を譲り受けあるいは借り受けて、その管理をすることによってオーナーの節税対策を行う会社をいいます。

管理会社が土地を借り受けるパターンをご紹介します。

①保有する土地に建物を建設し、その建物を管理会社名義にする。

②管理会社は、賃料を毎月オーナーに支払う。

③管理会社は、管理料を毎月オーナーから受け取る。

④管理会社は、役員報酬を毎月役員に支払う。

⑤税務署に、「土地の無償返還に関する届出書」を提出する。

このようなお金の流れをつくることにより、オーナーに集中していた所得を、管理会社と管理会社役員に分散させることができるのです。

通常、オーナーの所得税の税率より、管理会社の法人税の税率の方が小さいので、その税率の差の分、トータルの納税額は小さくなります。

管理会社の役員には、ご子息など将来の相続人に就任いただきます。そうすることで、将来の相続税の納税資金が徐々に蓄えられます。

また、給料には、所得税法上給与所得控除が認められますので、オーナーの不動産所得とするより納税額は小さくなります。

ご注意頂きたい事項としては下記の事項が挙げられます。

①管理会社としての実体をそなえること

 管理会社の業務としては、物件の保守点検業務やテナントの募集や賃料の契約管理業務、諸経費の支払や賃料の管理など多岐にわたります。これらの業務が管理会社でなされているということを証明できるようにしておきます。例えば、金銭の貸借や業務委託には管理会社名義で契約書を作成する、領収書などは整理して保存しておく、看板を掲げて郵便物が届くようにする、社会保険に加入するなどがあります。

②オーナーが管理会社に払う管理料は適正な金額にする。

 管理料は、物件の種類や規模、業務内容に応じて決定すべきではありますが、一律の基準はありません。

②役員報酬は実態に応じた金額にする。

 代表権の有無、常勤か非常勤か、実際の業務内容に応じて適正な金額にします。過大である場合、法人税法上認められない可能性があります。

最後に「土地の無償返還に関する届出」について説明します。

「土地の無償返還に関する届出」は、管理会社に借地権が課税されないために行います。土地を借りてその上に建物を建てた会社には、借地権という権利が発生します。これは、借地借家法という法律で土地を借りている人に認められています。

土地の賃借人はすでに建物を建てているので土地のオーナーから立ち退きを要求されても困ります。そこで、法律は正当な理由がない限りは賃借人は立ち退かなくてもいいとしています。そうすると逆にオーナーは自分の土地でありながら自由に処分できなくなります。よって、権利金という形でオーナーは賃借人から金銭をもらうわけです。

税法では、この権利金は土地の賃借には絶対発生することを前提にしています。仮に、権利金の受け渡しがなかった場合でも、あったものとして賃借人にその金額相当分を課税するのです。しかし、賃借人がその土地を将来無償で返還しますと約束し「土地の無償返還に関する届出」を提出すれば、オーナーも将来は自分の自由になるわけですから権利金をもらわなくていいということになり、この課税がなくなるのです。従って、この無償返還の届を提出しなければ管理会社に借地権が課税されますのでご注意ください。

                          次 相続税における資金対策とは >>

お問合せ・ご相談はこちら

ご不明点などございましたら、
お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

◆井上恵仁公認会計士・税理士事務所です◆
医院・歯科医院の経営のサポート専門の会計事務所です。

医院の現状を踏まえ税務・相続継承・経営全般に真剣にアドバイスいたします。
医院開業前サポート・医療法人の設立もお任せください。

対応エリア
大阪府 (大阪市・豊中市・吹田市・池田市・箕面市・茨木市・堺市・東大阪市・河内長野市・泉大津市など)
兵庫県 (神戸市・明石市・加古川市・芦屋市・西宮市・尼崎市・宝塚市・川西市・伊丹市など)

お気軽にお問合せください

  • お知らせ

  • 事務所紹介

  • 診療所開業をお考えの先生へ

  • 医療法人設立をお考えの先生へ

  • 医療法人豆知識

  • 法人税豆知識

  • 所得税豆知識

  • 相続税豆知識

  • 消費税豆知識

井上恵仁公認会計士・
税理士事務所

住所

〒662-0012
兵庫県西宮市甲陽園12−34